このページでは、強制性交等罪の法定刑、着手時期、既遂時期及び強制性交既遂と強制性交未遂の刑罰の違いについて解説しています。
強制性交等罪とは
法定刑 | 5年以上の有期懲役 |
---|---|
着手時期 | 手段としての暴行又は脅迫を開始した時点(13歳未満の者に対する強制性交等の場合は、性交等に至る客観的な危険性が認められる行為を開始した時点) |
既遂時期 | 性交等を行った時点 |
成立要件 | 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の者に性交等した(又は、13歳未満の者に性交等した) |
強制性交等既遂と強制性交等未遂の法定刑
強制性交等罪の既遂の法定刑は、5年以上の有期懲役です。有期懲役とは、1月以上20年以下の懲役を言います。
強制性交等罪は未遂の場合も成立します。強制性交未遂とは、強制性交等の着手(手段としての暴行又は脅迫を開始した)は行ったが、既遂(性交等を行った)に達しなかった場合を言います。
未遂罪の場合は、「その刑を減軽することができる」と、法律上裁量的に刑を減軽できる旨が定められています。法律上の減軽の方法は、懲役刑の長期及び短期を2分の1に減じる方法で行われます。
このように、強制性交未遂の刑は、強制性交既遂の場合と比べて、刑の長期及び短期が半分になる場合があります。既遂と未遂とでは、刑の重さに非常な違いが出ることになるのです。
強制性交等罪はいつ既遂になるか
では、強制性交等罪はいつまでが未遂であり、いつから既遂になるのでしょうか。
強制性交等の未遂と既遂とを分けるのは、性器を女性器・肛門・口腔に挿入したか(または挿入させたか)どうかです。性器を一部挿入した(させた)だけでも、既遂となります。一部でも挿入しさえすれば、射精しなくても既遂になります。
もっとも、男性器が女性器・肛門・口腔に接触しただけでは、挿入とはなりません。
なお、相手方に対して暴行または脅迫を行なっていない段階では、強制性交等罪の実行に着手すらしていないので、強制性交等未遂にもなりません。
強制性交等既遂・強制性交等未遂に執行猶予はつけられるか
では、強制性交等既遂・未遂それぞれの場合に、執行猶予はつけられるでしょうか(ここでは、1度目の執行猶予を想定します)。
執行猶予をつけるためには、言い渡される刑が、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金である必要があります。
ここで強制性交等罪の法定刑は、5年以上20年以下の懲役です。つまり、強制性交等既遂のケースでは、刑が減軽される例外的な事情がない限り、原則として執行猶予はつきません。
一方、強制性交等未遂のケースでは、刑の減軽により執行猶予がつく可能性があります。